
こんにちは、大林(プロフィールはこちら)です。
先日、本『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』を読みました。
この本で得た気付きをシェアしますね。
寿命が伸びることで、「生き方」が根本的に変わる
近年、テクノロジーがどんどん進歩し、平均寿命も伸び続けています。
「寿命が伸びる」ことは、良いことばかりと思われがちだが、実はそうではないのです。
寿命が伸びることで、以下のような弊害も出てきます。
(弊害1)老後の期間が伸びるので、単純に、資金が足りなくなる
寿命が伸びるということは、単純に考えて、「老後の期間が伸びる」ということです。
そうなると、これまでの働き方では、老後の資金が不足します。
現在の企業年金の制度の大元は、1950年頃に開始されました。
当時は、「65歳で定年を迎え、5~10年生きる(つまり、70~75歳で亡くなる)」ことを想定して作られていました。
実際、当時の平均寿命のうちは、この仕組は上手くいっていました。
しかし、寿命が伸びてきた今、100歳まで生きる人も少なくありません。
そうなると、確実にお金が足りなくなるのは、目に見えています。
この状況を打破するには、例えば「65歳以降も働き続ける」など、働き方を改革するしかありません。
(弊害2)AIや人工知能の急速な発達により、かつてない働き方の変化が起こる
ただ、「働き方を改革する」といっても、ここでも考慮すべきことがあります。
それは、AIや人工知能の急速な発達です。
テクノロジーが進歩することで、これまでの必要だった仕事が、ある日突然、お払い箱になってしまう可能性もあります。
実際、以下のような「機械に奪われる仕事」も発表されています。
人生100年時代を生き延びる。「教育」の7つのポイント
アメリカの黒人公民権運動活動家であるマルコムXは、こんな言葉を残しています。
教育こそが、未来へのパスポートだ
その言葉通り、今後の人生100年時代を生きていくには、今世界で行われている「教育」の在り方を、根本的に変えていく必要があると感じました。
ここでいう教育とは、子供の教育はもちろん、大人が自分自身に対して行う教育(自己投資)も含みます。
この本で学んだことおよび、私の考えも交えて、ポイントを7つに絞ってご紹介します。
(1)ゼネラリストから、連続スペシャリストへ
これからの時代、産業の変化が急速に起こっていきます。
そうなると、「1つのスキルに習熟するだけ」では、生きていけないことになります。
また、テクノロジーの進歩も早く、多くの仕事がAIや人工知能に代替されることが予想されます。
そうなると、「広く浅いスキル(ゼネラリスト)」では、生きていけないことになります。
では、どうすればいいのか?
ライフシフトの著書:リンダ・グラットン氏は、「複数の専門スキルを、深く習熟するべき」と述べています。
これを「連続スペシャリスト」と呼びます。
時代の変化に合わせて、柔軟に身につけるスキルを選んでいく必要があるのです。
また、「人生の最初の一定期間だけ、学習に専念すればいい」というものではなくなってきます。
人生のいろいろなステージで、教育に自己投資していく必要があるのです。
このように、人生の複数のステージで、自己投資をしていく必要が出てくるのです。
変化できるものが生き残る
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンも、こんなことを言っています。
最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。
唯一生き残るのは、「変化できる者」である
これからの働き方では、「変化できること」が、ますます重要視されてきます。
その意味でも、自己投資を今まで以上に意識していく必要がある、と言えます。
パートナーとの関係も、相互補完的になっていく
また、パートナー(夫婦)の関係も、徐々に変わっていくでしょう。
連続スペシャリストになるために、互いを学びをサポートし合う必要があるのです。
このように、自分が学びに集中している期間は、パートナーにサポートしてもらう。
パートナーが学びに集中している期間は、自分がパートナーをサポートする。
このように、お互いが補い合い、資金面などを補助し合う関係が生まれていきます。
そうなると、教育の面でも、パートナーシップについての教育の重要性が、より高まってくるように思います。
- どのような協力関係を築いていくか?
- 男女の心理学的な違い?
こういった、パートナーシップに関する教育が、ますます求められてくるように思います。
(2)求められるスキルが変わる
AIや人工知能が登場してくることで、人間に求められるスキルが変わっていきます。
例として、IBM社のWatson(ワトソン)を挙げてみましょう。
AIがもたらす、医療現場の変化
IBM社のWatson(ワトソン)は、ガン診断の面で、高い機能を誇っています。
これからどんどん進化していけば、より正確なガン診断が可能になるでしょう。
「どこに病気があって、どのレベルで、除去するにはどんな手術が最適か?」といったことまで、診断できるようになってくるでしょう。
そうなると、医者の仕事は、「ガンを診断すること」ではなくなってきます。
ガン診断はAIに任せ、人間は、例えば「最終的な意思決定」や、「患者・その家族への共感と励まし」がメインの仕事になっていくでしょう。
患者によって、「愛する家族と一緒にいたい、家で療養したい」という人もいれば、「助かる可能性があるなら、ずっと病院で治療し続けたい」という人もいるでしょう。
そういった患者の想いを汲み取り、それに合わせた治療法を提案していく。
今後の医者には、こういったスキルが要求されてくるものと予想されます。
「競走」ではなく、「共創」が大事
つまり、「AIや人工知能と競争する」のではなく、「共創する」意識が重要になってくるのです。
仕事を奪い合うのではなく、「AIが得意な分野はAIに。人間が得意な分野は人間が。それぞれの価値が最大限発揮できるような役割分担をしていこう」ということです。
「好き」を極めるのが一番
私は「人間の役割」を考えていく上で、「自分の好きなことを極めていくことが一番だ」と考えています。
誰も好きになれないような仕事ほど、どんどんAIや人工知能に取って代わられるはずです。
であれば、最初から「好きなことを仕事にする」ほうが、結果的に上手くいくように感じています。
好きなことをしていると、アイデアも湧いてきますし、イノベーションも起こりやすいものです。
教育の現場でも、「子供が、自分の好きなことを見つけ出せる。そこを伸ばせる」ような教育が求められてくるように思います。
また、大人の中でも「好きなことを見つける。好きなことを仕事にする」ことが重要視されてくるように思います。
(3)文系・理系の枠組みがなくなる
日本では、「文系」「理系」という区分が一般的です。
しかし、今後の働き方を考えると、この枠組は、徐々になくなっていくように思います。
なぜなら、人間の興味(好き)は、単純に2つに分かれるものではないからです。
では、どんな教育が求められていくのか?
アクティブラーニングが、より重要になっていく
私は、アクティブラーニングの重要性が、より高まっていくように感じています。
アクティブラーニングとは、要するに「知識を与えられるだけではなく、自分から主体的に学んでいく」ことを指します。
「アクティブ(主体的)に、ラーニング(学ぶ)しよう!」ということです。
自ら学びたい分野を選び、主体的に学び、その結果を人に伝えていく。
こういった教育が、好奇心を育み、多くのイノベーションにつながっていくように思います。
教育者は、より「アドバイザー」的な立ち位置へ
そうなってくると、教育者の役割は、「知識を与える」ことではなくなってくるでしょう。
そうではんかう、「アドバイザー」的な役割になってくるように思います。
子供の学びの進捗を見て、「次はこうしてみたらどうかな?」といったアドバイスをすること。
子供は、そのアドバイスをふまえて、主体的に次の一歩を踏み出していく。
こういった関係性が生まれてくるように思います。
これについては、以下の記事でも詳しく書いていますので、合わせてご覧ください。
>> 世界の子供教育:ポイント×10。「世界の子育て・保育を知る旅」のイベントに参加してきました
(4)体験・経験の価値が高まる
これまでの教育は、言ってみれば「知識の詰め込み」です。
学生時代のテストを思い浮かべてみれば一目瞭然です。
これまでのテストは、「以下に知識を覚えているか?」についてのテストなわけです。
しかし、知識を覚えるという点においては、AIや人工知能の方が、はるかに優秀です。
記憶容量はどんどん増えていますし、忘れることもありません。
そうなると、人間が頭に知識を詰め込む価値は、どんどん薄れていくでしょう。
では、何が重要になっていくのか?というと、「体験・経験」なのです。
アルキメデスも、体験があったからこそ閃いた
浮力を発見したアルキメデスの、有名な話があります。
アルキメデスは、浮力について日々考えていたのですが、なかなか答えが見つかりませんでした。
そんな時、お風呂に入った所、お風呂のお湯がザバーッと溢れ出しました。
アルキメデスはこれを見て「エウレカ!エウレカ!(わかったぞ!)」と言って、お風呂から飛び上がったそうです。
これにより、浮力が発見された、ということなのです。
これも、アルキメデスが「お風呂に入る」という体験をしたからこそ、頭の中の知識と結びついて、偉大な発見に結びついたのです。
つまり…
「知識+体験=知恵」ということ
経験・体験があるからこそ、知識と化学反応を起こし、知恵(アイデア、イノベーション)になるのです。
そのため、子供教育においても、教室で先生の話を聞くだけでなく、フィールドワークのような活動もどんどん増えていくことが期待されます。
また、職業体験のような、社会との関わりも大事になってくるでしょう。
他にも、例えば資格試験。
これまでの資格試験は、「知識の詰め込み」の代表格とも言えるような試験方式になっていました。
これからは、「その知識をどう活かすか?」を実地で体験できるような仕組みが必要かもしれませんね。
(5)自分と向き合うことの重要性が高まる
人生が長くなればなるほど。
物質的に豊かになればなるほど。
人間にとって、本質である「自分を見つめ直すこと」がとても重要になってきます。
- 自分が好きなこととは何なのか??
- 自分の存在意義は何か??
- 何のために働くのか??
- 自分にとっての「幸せ」とは??
- 人生を通じて、何を成し遂げたいのか??
アンパンマンの歌詞にもありますが、まさに「何が君の幸せ、何をして喜ぶ、解らないまま終わる、そんなのは嫌だ」なのです。
哲学的な教育の価値が高まっていく
私は、この「自分を見つめ直す」うえで、哲学的な教育の価値が高まっていくと考えています。
「哲学」というと難しいイメージを持たれがちですが、そうではありません。
私は、「哲学することによって、自分を掘り下げていく。これによって幸せや自己実現を引き寄せられる」と考えています。
図にすると、以下のようなイメージです。
私自身、哲学は好きな分野なので、この教育がより広まっていったら良いな、と思います。
(6)個人のブランド(評判)が重要視されてくる
時代の変化が速いということは、「業界もどんどん変化し、会社や職をどんどん移り変わる時代になる」ということでもあります。
そうなると、個人のブランド(信用・評判)で世の中を渡り歩く、ということにもなります。
実際、中国では「芝麻信用」というサービスが登場しています。
これは要するに、「信用度を数値化(可視化)する」というものです。
このようなサービスが、今後増えていくように思います。
セルフマーケティングが重要になってくる
- 自分は、仕事でこんな実績を出してきました
- 自分は、こんなスキルを身に着けています
- 自分は、こんなことに興味があり、こんな分野に進みたいです
こういった、言わばセルフマーケティングの重要性が、今後ますます高まっていくでしょう。
まさに、「個の時代」とも言えるかもしれませんね。
(7)所有ではなく共有(協力)していく
人間一人の力でできることには、限界があります。
例えば、最初にお話した「連続スペシャリスト」のお話でも、一人で多くの分野をカバーするのは、現実的に考えて難しいでしょう。
そうなると、周囲の他の連続スペシャリストと協力する必要が出てきます。
一人で抱え込まず、多くの人と関わり合い、化学反応を起こしていく。
スキルやアイデア、人脈を共有し、連続スペシャリスト同士が化学反応を起こして、イノベーションを実現していく。
こういった意識が重要になってきます。
「場の気づき」を誘発する教育の仕組みを
そうなると、教育の場でも「知識の詰め込み」ではなく、「グループワーク」などの活動が増えていくでしょう。
「複数の人が協力して、1つ問題解決に当たる」というようなテスト形式が出てくるかもしれません。
2人以上の人が関わり合うと、「場の気づき」が生まれます。
あなたも、「人と話していたら、新しい考えやアイデアが思いついた」といった経験があると思います。
これが、場の気づきです。
こういった場の気づきを誘発するような仕組みが、教育の現場にも出来たらいいなぁと思います。
まとめ:人間の土台は、「教育」にある
私は、人間の土台は「教育」にある、と考えています。
未来の生き方・働き方が大きく変化していく以上、教育の在り方も変わっていく必要があるでしょう。
私も今後、教育の分野にシフトしていきたいと考えています。
教育の現場がより良くなっていく、その一助となれたら、これほど嬉しいことはありません。
自分のスキルがどう役立つか?は未知数ですが、だからこそ、ものすごくワクワクしています。
私も、変化しながら、連続スペシャリストとしての人生を歩んでいきたいと思います。
参考になれば幸いです。
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略